パンチラーラ様からのご質問
質問:エアロフレームとかエアロホイールって本当に効果があるのですか?
自転車を乗るうえで空気抵抗は常に立ちはだかる壁であり、「空気さえなければもっと速く走れるのに!」と思ったことは一度や二度ではありません。
フレームやホイールがエアロ形状になることで空気抵抗が低減するのは風洞実験でも明らかとなっています。それによって何W(ワット)セーブできるだとか、タイムが何秒縮むだとか具体的なデータもありますが、いまいちピンと来ない方も多いかと思います。
空気抵抗(抗力)は、
D=1/2pCdAv^2
(D:抗力、p:空気の密度、Cd:抗力係数、A:前面投影面積、v:速度)
という式で算出されます。
抗力係数というのは、抗力の無次元数で物体の形状などによって変化します。これを「翼断面形状」だったり「静流効果」だったりゴルフボールのような「ディンプル加工」だったりで値を小さくします。
実際、フレームやホイールの前面投影面積は人間の体に比べるとごくわずかです(車体:人体=1:9くらい?)。
これ以上面積を少なくするにも限界があるので、各メーカーは必死になって「抗力係数」を小さくする努力をします。しかし、それでも全体に対する効果の割合は大きいとは言えません。
いっぽう、前面投影面積の大半を占める人間の体はフォームによってその面積を大幅に小さくすることが出来ます。
一般的なロードバイクとTTバイクを比べると車体の面積の差はほとんどありませんが乗車姿勢で比較するとその違いがわかります。
さらにはエアロヘルメットやスキンスーツを着用することで人体に対する空気抵抗の抗力係数を小さくすることが出来ます。
また、空気抵抗は速度の2乗に比例することから、より速い速度域であるほどエアロ化の恩恵を受けられます。
一般的に空気抵抗の差を体感できるのは時速30kmを超えてからだと思います。それ以下だとあまり意味はなく、速ければ速いほど効果は大きくなります。
あともう一つ。エアロフレームやエアロホイールにすることで、「このフレーム(もしくはホイール)でゆっくり走ってるのは恥ずかしい」という見えないプレッシャーに追われます。エアロフレームで速くなった気がするのはほとんどこれです。
答え:効果はあります。確実に速くなるし、格好も良くなります。
text■塚田
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解析エンジニア (金曜日, 26 2月 2016 22:56)
設計現場では風洞以外にも数値解析が盛んにおこなわれていますね、
次のように車体も世代毎に空力の進化が最近のトピックですね。
http://www.cd-adapco.com/ja/magazine/dynamics-40
http://www.cd-adapco.com/presentation/aerodynamic-development-p09-time-trial-bike-helmet
http://www.cd-adapco.com/presentation/aerodynamic-development-time-trial-bicycle-helmet-cfd-le-eulerian-multiphase-flow
http://www.cd-adapco.com/presentation/cerv%C3%A9lo-p5-aerodynamic-development