古くからリムメーカーとして知られるMAVICですが、1996年に完組みホイールの元祖とも言われる「ヘリウム」を世に送り出した先駆的なホイールブランドでもあります。
その後1999年に登場した「キシリウム」は手組みホイールでは成し得ない特殊な構造で一世を風靡し、現在でもMAVICの看板モデルとなっています。
アルミ合金の「ジクラルスポーク」を採用したことで軽量で剛性の高いホイールが設計可能になり、完組みホイールの優位性が大きく高まりました。
現在ではアルミスポークを採用したホイールはカンパニョーロの「シャマル」シリーズ、フルクラムの「レーシングZERO」シリーズが挙げられますが、どちらもMAVICの「キシリウム」シリーズと並ぶアルミホイールの最高峰といえます。さらにリムのブレーキ面にプラズマ加工を施した「シャマルMILLE」と「レーシングZERO NITE」がありますが、皆さんご存知の通りMAVICのエグザリットが先ですね。
MAVICとカンパニョーロ・フルクラムを比較したときに、ハブの構造とスポークパターンの違いが特徴として挙げられます。
カンパ・フルクラムのハブベアリングは基本的には同じ設計で高精度なカップ&コーン方式です。上位グレードにはセラミックベアリングの「CULTテクノロジー」が採用されています。一方でMAVICのハブはは全てのモデルで圧入式の工業型ベアリングを採用しており、基本的にメンテナンスフリーとなっています。
単純な回転性能はカンパ・フルクラムに軍配が上がりますが、MAVICのハブは他社製のセラミックベアリングに打ち替えることも可能です。
スポークパターンはカンパニョーロの「G3」、フルクラムの「2-1(two to one)」に比べてMAVICはあまり特徴がないように思われますが、実は「ISO PULSE」という独特の組み方が採用されています。リアホイールのフリー側をラジアルで組むことで左右バランスを是正しており、高強度のスポークを高いテンションで張れるからこそ実現できる設計です。キシリウムの「かかりの良さ」はこのスポークパターンが一役買っています。
近年の傾向として、ホイールの「ワイドリム化」というのがトレンドのひとつとなっています。25cや28cといった太めのタイヤがレースでも使われるようになり、ホイールもそれに合わせて太くなりました。それによって剛性アップとエアロ効果に期待が出来ますが、重量はどうしても犠牲になってしまいます。路面の悪い下り坂なんかだと太いタイヤの恩恵は確かに感じられるのですが、やっぱり足回りは「軽さが正義」という方のほうが多いのではないでしょうか。
カンパ・フルクラムはほぼ全てのモデルが「ワイドリム化」しており、従来のナローリムは残念ながらラインアップから消えてしまいました。MAVICは「R-SYS SLR」と「キシリウムPROエグザリットSL」と「キシリウムPRO SL」とで上級グレードにもナローリム仕様が生き残っています。ワイドリムの必要性に疑問を感じる者としてはこの点は評価に値します。
まだ未発表ですが、次回のモデルチェンジでナローリム仕様がラインアップから消えてしまうと悲しいですね。
というわけで(?)、MAVICのキシリウムシリーズが現在特別セール中ですのでなくなる前に手に入れておきましょう(別になくなると決まったわけではないですが)。
text■塚田
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