カンパニョーロのホイール(ZONDA以上のグレード)のベアリングタイプは全部で3種類あります。最上級グレードの「CULTベアリング」(セラミック・アルティメット・レベル・テクノロジー)、その次に「USBベアリング」(ウルトラ・スムース・ベアリングス)、そして下位グレードは「スタンダードベアリング」(スチールベアリング)となっています。
CUTLとUSBはどちらもセラミックベアリングを使用しており、ベアリングその物は同一部品(同じ品番)です。違うのはベアリングカップとベアリングコーン(ワンと玉押し)の素材と、使用するグリスです。
一方でUSBとスタンダードベアリングの差はカップ・コーンは同一素材(同じ品番)でベアリングがセラミックかスチールかの違いです。
USBベアリングのハブを「CULT化」する場合は、ベアリングはそのままで、カップ・コーンを交換する必要があります。スタンダードベアリングを「CULT化」する場合は当然ベアリングも交換します。
ベアリングカップはハブ本体に圧入されていおり、取り出し・取り付けには専用工具が必要です(昔のボーラやハイペロンはこのカップを取り出すのにスポークを全て抜かなくてはいけないものもありました)。
外したカップ・コーンとCULT用のカップ・コーンです。ぱっと見だとどっちがどっちかわかりません。じっくり見ても正直よくわかりません。
実は画像のそれぞれ左側の物がCULT用です。なんとなくうっすら黄身がかっているような気がします(混ざってしまったら言い当てる自信がないかも)。試しに磁石を近づけてみましたがどちらも同じようにくっつきます。
以前はスタンダードの(CULT用でないほうの)カップ・コーンは黒っぽい色だったので確実に見分けることが出来ましたが、数年前くらい(?)にマイナーチェンジで現在のシルバーの物になりました。
カンパニョーロのカタログによると、USBはスタンダードベアリングよりも50%優れた回転性能であるということになっています。さらにCULTはスタンダードベアリングよりも9倍優れた回転性能だそうです。つまり、「CULTはUSBよりも6倍優れている」ということが言えます。指で回してみた感じも、CULTは明らかに回転が軽いのがわかります。
スタンダードとUSBの差よりもUSBとCULTの差の方が大きいことから、回転性能はベアリングの素材よりもカップ・コーンの材質に依存するのでしょうか。実は回転性能に差が出るのは主にグリスの抵抗の差です。CULT用のカップ・コーンはより磨耗に強い素材を精密に仕上げることで、ベアリングに塗るグリスを最小限にすることが出来ます。
耐久性を無視すれば、USBやスタンダードベアリングのグリスを洗浄することでCULTに近い回転性能を実現することができるかもしれません。しかし、ベアリングやカップ・コーンなどのスモールパーツは結構いい値段(スタンダードで前後約16000円、USBだと前後約24000円)がするのであまりおすすめはしません。
ちなみに、「CULTベアリング化」する場合の費用は前後でおおよそ5万円くらい(工賃込み)です。モデルやホイールの状態によって多少前後(前述したスポークをバラさないといけないタイプはプラス15000円くらい)します。納期はだいたい1~2週間程度。
text■塚田